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#4: The End of Innocence

San Francisco Airportから 日差しを追いかけて
101下れば そこはもうシリコンバレー
San Mateo, Redwood City 素通りしたなら
君が待ってるMenlo Park もうすぐたどり着く

二人の 夢を追いかけた Stanford Campus
ガレージ通った Mountain View

Sand HillのVenture Capitalist 相手にされなくて
何度も書き直した僕らの Business Plan
時代は Roller Coasterみたいに過ぎていくけれど
あの頃描いた 夢は変わらずにいるよね

(「California Sunshine」 * Morihiro 2006)

アメリカ出張前、日曜日の午後、出発前の長い待ち合わせ時間を、彼女といっしょに出発ゲートのロビーで過ごす。うす曇の外の景色にかすみのかかった太陽がにじんでいる。
成田空港にくるなんて、なんてひさしぶりだろう。彼女をイギリスに連れて行ったあの時以来かも知れない。ふたりで歩んだ10年間の思い出は、重くは無いけれど、ふたりのきづなを確かにしてくれた、と、少なくとも僕は信じられる。そんな気持ちを確かめてから、僕は、15年ぶりのアメリカ、そしてはじめてのシリコンバレーへと旅出った。

月曜日の朝、サンノゼにほど近いビジネスホテル。目覚まし代わりのラジオからは典型的なウエストコーストロックのサウンドが流れる。かつて、あれほどまであこがれたのに、そのサウンドにさえもうあまり心ときめかなくなっている自分がちょっとさびしい。ホテルのプールサイドが見えるテラスで、ちゃんと溶かしていないインスタント味噌汁の、味の無いうわずみと味の濃すぎる底に辟易しながら、僕は自分がもう早くもホームシックにかかっていることを自覚し始めていた。
食後のデザートで、オレンジ色のメロンと黄緑色のメロンにまざって、スイカが混ぜてあるのはどうしてだろうと考えながら、ああそれは、きっと「Watermelon」というくらいだから、同じカテゴリーなんだろう、と思ってみたり、ちょっとした発見はあるけれど、そんなことに気付いたところで、人生を変えるほどじゃない。
ベッドのリネンを自分で直すことさえ、僕の寂しさを微妙にかきたてる。旅は人を変えてくれるけれど、長旅が人をプラスに変えるのか、それともマイナスに変えるのか、は、結構微妙な問題かもしれない。尾崎豊が、ニューヨークで暮らしても、結局何も得られなかったのは、こんな気持ちをほうっておいたからだろうか、と想像した。

仕事の合間の昼食は車で少し離れた日本料理店(というか、定食屋)に繰り出す。浜田省吾の「夏の終わり」を彷彿とさせるような青空の彼方には、あきらかな砂漠の風景である山なみが見えている。その下に広がる、国道16号沿いをスケールアップさせたような風景は、ダイナミックであるけれど、やや、僕のココロをとりこにするものとは違うようだ。初めてこのカリフォルニアの空に出会ってからもう15年、僕はその間、フロンティアを夢見て、憧れを育み、そして世界を知った。しかしそれは、同時に夢見る対象をすこしづつ減らしていく過程だったのかもしれない。

夕方、出張先の世話役の人が気を聞かせて、僕をFry'sに連れて行ってくれた。久々に見る、Panasonicのコードレスフォン、価格破壊の中でも相変わらず頑張っているみたいだ。もう、あの頃に帰りたいというノスタルジアは決して感じない。僕はきちんと過去に決別し、未来を目指そうという気持ちなってはいる。でも、その思い出の価値を軽んじることは、僕はこれからも決してしないようにしたいと思う。いつも、わすれてはいけないこと、それが、「I was raised in Panasonic.」このひとこと。誇りを持って。

この旅路の上、取引先やらいろいろな人々と話をしながら、僕は、ずっと、シリコンバレーのスピリットというのは何なのだろうと考えていた。いま、自分の言葉で総括するとすれば、決してひとときの流行に自分のキャリアをゆだねるのではなく、10年単位で考えて、そのための人と人とのネットワークをつくっていくこと、自分の人生哲学を確かに持つこと、仕事もプライベートも、思想を持って全力投球し、Enjoyすること、そんなところかと思った。結局、ひるがえって、自分に突きつけられたのは、J-Boyという制約の中で、自分はどんな人生をリードしていきたいのか、という、15年前にこの地に渡った時に自分に問い掛けた答えが、より高いレベルで再び返ってきたということみたいだった。
21歳の自分、あのころ、まだ、ポテンシャルは無限でも、自分がどこまで、どのようにたどりつけるのかのあてもなく、でも、夢だけを胸に、人生を模索していた。そしていま、再び、はるかな旅を経て再びこの地を訪れた自分がいるけれど、カリフォルニアの風は、昔も今も、一貫して僕に同じ質問を投げかけている。Where do you want to go today? と。

 


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